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がん免疫療法

がん細胞とは

一般には「増殖の制御を失って無制限に増殖する細胞」と考えられている。しかし、本来、細胞は分裂(増殖)を繰り返すと死ぬ運命を背負っている。例えば、がん遺伝子として知られるc-myc 遺伝子(細胞分裂を促進する)は細胞を分裂させるが、同時に細胞の自殺死(アポトーシス)を誘導する。
それでは「がん細胞」とはどんな細胞か?
「がん細胞」は単に「増殖する細胞」ではなくて、「増殖しても、死なない細胞」すなわち、細胞死(アポトーシス)から逃れるメカニズムを獲得した細胞
これが、「がん」が色々な治療法に抵抗し、やっかいな存在である大きな理由。

がんはどこから生まれるのか

私たちの体は約60兆個の細胞でできている。そして、 毎日全体の60分の1(約1兆個)が死んで、同じ数の細胞が細胞分裂で新たに作られている。
がんは遺伝子の病気だと言われています・・・
新しい細胞が細胞分裂で作られると、細胞分裂の過程で、遺伝子変異(遺伝子異常)を持つ細胞が出現し、約1兆個の細胞の中で、5000〜6000個ぐらい出来損ないの細胞が生まれこれががん細胞になる(がんは分裂する細胞から生まれる)。
私達の体の中には常に数多くの「がんの芽」が生まれている

私たちががんと呼んでいるのは

  • 肉眼的に見える大きさになった「がん細胞」のかたまり
  • 通常、大きさは約 0.5〜1.0cm、重さは約1gぐらい
    (「早期がん」として発見される大きさ)
  • がん細胞の数は約10億個

肉眼的に見えるまで大きくなったがんは、放置すると命を脅かす可能性がある

がんが出来たということは・・・

  • 実は、「がん」 が見える大きさになったという事。

=肉眼的に見える大きさ、あるいは色々な検査で発見できる大きさに成長したという事

  • 突然、「がん」が出来ることはない。
  • 「がん」は見える大きさになる前も長い間存在している。
  • 1個のがん細胞が見える大きさ(約10億個)まで増えるのに平均9年かかると考えられている。

「がんの芽」が「がん」になるまでは時間があり、その間にがんを潰すチャンスはある

がんの芽とがん

理由
私たちの体の中にある「免疫細胞」が、次々とがん細胞を殺して、がんを「小さな芽」のうちに摘み取ってくれるため。
すなわち、体の免疫システムが体内のすみずみまでパトロールして、「がん」を殺してくれるため、がんを発症しない。
免疫細胞が「がん」を監視していること事から、
このメカニズムは「免疫学的監視機構」と呼ばれている。

「疫病から、まぬがれる(免れる)」

「一度かかった伝染病に二度はかからないこと」を意味する。

ジェンナー(イギリスの科学者)は種痘法を開発して、
この概念を実行し、天然痘を地球上から撲滅した。
現代では、もう少し広い概念で、「体内に病原菌や毒素などの異物が侵入した時、あるいはがんのようなものが発生した場合に、これを選択的に排除しようとする機能(自己の生存にとって不利益な外敵から自分を守る仕組み)」を免疫と呼んでいる。

液性細胞:免疫細胞の種類には、1.顆粒球、2.マクロファージ、3.リンパ球、大きく分けてこの3種類があります。顆粒球というのは細胞の中に顆粒を持っていて、感染症などの時に細菌などの外敵を活性酸素で攻撃します。マクロファージは「貪食細胞」とも呼ばれ、進入してきた病原体をパクパク食べて処理します。また、リンパ球は特定の病原菌やがん細胞などに対して攻撃を仕掛ける特殊部隊と言えます。これら、顆粒球、マクロファージ、リンパ球は白血球とも呼ばれ、血管やリンパ管を通って全身にくまなく移動しています。
免疫の種類は液性免疫と細胞性免疫に分けられます。液性免疫は、主に抗体による免疫で、血清の成分によって行われる免疫現象です。この液性免疫を担当しているのが、B細胞、またはBリンパ球と呼ばれる免疫細胞です。液性免疫では、抗体は補体などと一緒になって抗原を破壊しています。
もう一つは、細胞性免疫です。これは、字の如く細胞成分によって行われる免疫現象で、免疫細胞によって行われます。特に、T細胞が主役です。この他に、マクロファージ、NK細胞などにより起こされる免疫反応も細胞性免疫です。細胞性免疫ではT細胞などの免疫細胞は直接抗原を攻撃するのが一つの特徴です。

また、免疫反応の種類により特異的免疫反応と非特異的免疫反応に分類することもあります。

私たちの体の中でがんを殺すのは何か

がん細胞を殺す「殺し屋細胞」

 がん細胞を殺す免疫細胞は「killer cell」と呼ばれています。すなわち、「killer」は殺し屋、「cell」は細胞ですから、「killer cell」は日本語では「殺し屋細胞」です。
 「殺し屋細胞」には、もともと自然に体に備わっている「殺し屋細胞」とTリンパ球由来の「殺し屋細胞」があります。もともと私たちの体に自然に備わっている「殺し屋細胞」は、自然に備わっているのでnatural killer cell呼ばれて、頭文字をとって、NK細胞と呼ばれています。NK細胞は活性化されると手当たり次第にがん細胞を殺します。
 また、Tリンパ球由来の「殺し屋細胞」は、「細胞傷害性Tリンパ球」と呼ばれています。細胞傷害性Tリンパ球は、NK細胞とは異なり、特定のがん細胞を殺します。
 しかし、どちらも、相手を選ぶか、選ばないかの違いはあっても、がん細胞を殺す機序は同じであると考えられています。

「がんの芽」を摘み取るNK細胞

ここで、NK細胞についてお話します。「がんの芽」を手当たり次第、摘み取ってくれるのが、「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」と呼ばれる免疫細胞です。NK細胞はT細胞にもB細胞にも属さないリンパ球です。腫瘍細胞を融解する機能を持っていて、生体内でも抗腫瘍作用があります。特徴としては、NK細胞は特定のがん細胞を殺すのでなく、手当たり次第にがん細胞を殺します。このため、NK細胞の作用は「非特異的免疫反応」と呼ばれています。NK細胞は、がんの発症を抑え、発がんの初期段階で特に重要な役割を果たしていると考えられています。また、NK細胞は、特定のがんを攻撃するT細胞による特異的免疫反応が発動する前に、NK細胞は「がんの芽」を摘み取っています。



 
  • 「がんの芽」を摘み取るNK細胞
  • 「がんの芽」を手当たり次第、摘み取ってくれるのが、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)と呼ばれる免疫細胞。
  • 免疫が低下した結果・・・
    「殺し屋細胞」(兵隊)は活性化されない。
      すなわち、「がん」があっても知らんぷりの状態。
    それでは、どうしたら良いか?
    「殺し屋細胞」を活性化、怠けている「殺し屋細胞」を体外(培養室)で活性化、細胞を増やして、体内に戻す。
    これを活性化リンパ球療法と呼ぶ。
    ・NKやT細胞由来の活性化リンパ球(活性化された殺し屋細胞)を増やす。
    ・約25mlの血液から、リンパ球を2週間の培養すると、約50〜100億個の活性化リンパ球が得られる。

     
  • NK細胞は特定のがん細胞を殺すのでなく、手当たり次第にがん細胞を殺し(非特異的免疫反応)、がんの発症を抑え、発がんの初期段階で特に重要な役割を果たす。
  • 一方、細胞傷害性Tリンパ球は、特定のがんが大きくなった時、特異的免疫反応によりがん細胞を攻撃する。

免疫が低下すると「がん」は出来るか?
例えば、エイズ(AIDS:後天性免疫不全症候群)は、Tリンパ球(特にCD4陽性Tリンパ球)にエイズウイルスが感染して、T細胞が無くなってしまう病気。T細胞の免疫が低下すると、カボジー肉腫や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍が出来て、多くのエイズの患者さんがこれらの悪性腫瘍で亡くなっている。
また、慢性肝炎や肝硬変症などの慢性疾患では、NK細胞の活性低下が肝臓がんの発がんに関係すると考えらている。
免疫が低下すると、「がん」はできやすい。
すなわち、何らかの原因で「免疫が低下」すると、がん細胞は免疫の監視(免疫学的監視機構)をすり抜けて、増殖する。

 

  • 免疫が低下する原因
  • 加齢(免疫力は20〜30代でピーク、40歳過ぎから低下)
  • 肥満・生活習慣病(高脂血症、高血圧・動脈硬化、糖尿病)
  • 食生活(暴飲暴食、偏食、アルコール摂取過剰、ビタミン不足、鉄の過剰摂取)
  • ストレス、過労、運動不足、喫煙、冷え、不摂生
  • 化学物質(抗生物質、食品添加物、建材からの有害物質)
  • 環境因子(紫外線、排気ガス)、その他

免疫が低下した結果・・・
「殺し屋細胞」(兵隊)は活性化されない。
  すなわち、「がん」があっても知らんぷりの状態。
それでは、どうしたら良いか?
「殺し屋細胞」を活性化、怠けている「殺し屋細胞」を体外(培養室)で活性化、細胞を増やして、体内に戻す。
これを活性化リンパ球療法と呼ぶ。
・NKやT細胞由来の活性化リンパ球(活性化された殺し屋細胞)を増やす。
・約25mlの血液から、リンパ球を2週間の培養すると、約50〜100億個の活性化リンパ球が得られる。

 

  • 長所
  • 即戦力がある。
  • 採血から2週間で治療可能(点滴)。
  • 100%自分の細胞(クローン)なので、アレルギー等の副作用が全くない。
  • 短所
  • 生きた細胞なので寿命がある。
  • 体内のリンパ球(殺し屋細胞)を活性化する能力はない

「がん」に対して免疫つける

怠けている「殺し屋細胞」の監督(樹状細胞)を培養室で教育し、体内に戻し、体内で細胞傷害性Tリンパ球を活性化する。
これを樹状細胞療法と呼ぶ。
・ がんに対して「免疫」をつけることが可能。
・ がんに対して「免疫」ができると、自分の体の中で「殺し屋細胞」を増やすことができる。

  • 樹状細胞療法の種類
  • 自己がん組織樹状細胞療法
  • 人工抗原樹状細胞療法
  • 局所樹状細胞療法